AI運用システムの全体像
井ノ部が「AIで、一人で完結させる」ために組んでいる仕組みの全体像です。入口の地図・実行の単位・記録を守る仕組み・複数台での同期という4つの部分でできています。
内向型の私にとって、AIは何度聞き直しても同じ調子で答え、途中で作業を止めても問題が起きません。ただ、AIを使い倒すには、毎回同じ説明を繰り返さずに済む仕組みが要ります。ここでは、私が組んでいるAI運用の仕組みを、ファイルの置き場所(パス)は出さずに全体像だけ説明します。
なぜ仕組みを公開するか
AIに毎回指示を出し直す働き方だと、指示を考える時間そのものが消耗になります。私が目指しているのは、先に仕組みを決めておき、AIに指示を出す作業自体を減らすことです。私はこの考え方を「ループエンジニアリング」と呼んでいます。この仕組みの中で人が担うのは、設計と、出てきた結果を採用するかどうかの判断だけです。
このページで説明する仕組みは4つの部分に分かれています。順番に見ていきます。
入口の地図となるCLAUDE.mdの役割
Claude Codeというツールには、作業を始めるたびに自動で読み込まれる「CLAUDE.md」という指示書ファイルがあります。私はここに、細かい作業手順そのものを書きません。書くのは、「いつ」「どこを見ればよいか」というトリガーとポインタの表だけです。判断の理由や具体的な手順は、それぞれの担当ファイルに1か所だけ置き、CLAUDE.md側には重複させません。同じ内容を2か所に書くと、どちらかが古くなったときに矛盾が生まれるからです。
実行の単位となるスキルとコマンド
「記事を書く」「投稿文を作る」「調べものをする」といった作業は、あらかじめ手順を決めた単位にまとめてあります。呼び出すときは、その単位の名前を指定するだけで、毎回手順を説明し直す必要がありません。作業の種類が増えるたびに、この単位も増やしています。
記録を守るフックと検査ループの仕組み
作業の記録は、日々の作業ログと索引の2か所に残しています。この記録は、複数の作業を同時に走らせても壊れないように、決まった場所にいったん置いてから自動でまとめる形にしています。人が直接まとめて書くと、複数の作業が同時に走ったときに後から書いたほうが先の記録を消してしまうことがあったためです。
もう1つ大事にしているのが、作った本人に自分の仕事を採点させないことです。文章や作業内容を検査するときは、作った側とは別の役割に確認させます。自分で書いたものを自分で甘く採点してしまうのを防ぐためです。検査は「機械で測れる形式的な誤り」と「読み手にとっての分かりにくさ」を別々に見る2段階にしていて、どちらも一定の基準を満たすまでは公開しない仕組みにしています。ただし、最終的に文章の良し悪しを決めるのは私であって、機械の合格印そのものを目標にはしていません。
複数の端末で同じ状態を保つ
私は複数の端末を使い分けていますが、どの端末で作業しても同じ記録・同じルールを参照できるようにしています。設定やルールの本体は1か所を正として管理し、日々の作業ログは自動で同期する仕組みに任せています。これによって、どの端末から始めても「前回の続き」から作業できます。
この仕組みは完成品ではなく、うまくいかない部分が見つかるたびに直しています。実際、複数の端末を同時に使ったときに記録が消えるという失敗も経験していて、そのたびに仕組み側を直してきました。次のページ「Claudeの作業メモリとCLAUDE.mdを1ページに収める理由」では、こうした仕組みを作るときに参考にしている公式の考え方を1つ紹介します。